中国において「食育」への関心が高まる中、私たちは7日間の日本研修の旅に出発しました。東京から京都、大阪、さらに三重や横浜へと足を運び、学校や給食センター、テーマパーク、そして業界大会を訪問し、日本における食育の全貌を間近に体感しました。

それは単なる視察ではなく、目で観察し、舌で味わい、心で考える学びの時間でもありました。

東京:学校給食から給食センターまで
東京の公立中学校では、生徒たちが昼食を通じて「教育の延長」を実践している姿を目にしました。自ら配膳し、静かに食べ、食後はきちんと片づけを行う。給食は栄養補給にとどまらず、責任感や協働、秩序を学ぶ大切な教育の場となっていました。
その後に訪れた東京学校給食センターでは、高効率な生産ライン、厳格な食材管理、栄養士による科学的な献立作成を見学。日本の学校給食の背後にある「見えない教育力」を直感的に理解することができました。

三重:モクモクファームで体験する「生活としての食育」
三重県の食育テーマパーク「モクモクファーム」では、食育の楽しさを改めて感じました。農場や工房、体験館が整備され、子どもたちは畑で食材を収穫し、工房でパンやソーセージを作り、食に直接触れることで学びを深めます。
「遊びのような学び」を通して、食育が生活の中に根づく姿を実際に見ることができました。この方法は、中国の学校における食育をより楽しく、参加型にするヒントを与えてくれました。

横浜:日清カップヌードルミュージアムで学ぶ食とイノベーション
横浜の日清カップヌードルミュージアムでは、インスタントラーメンの発明と発展の歴史をたどりました。小さなカップ麺から始まった革新が、日本の食品産業の創造力と文化的影響力を象徴しています。ここでは、食が単なる食品にとどまらず、産業や社会発展の縮図であることを学びました。

京都:伝統文化に息づく食育の哲学
京都では、地域の配餐センターを訪問しました。ここでは食材の受け入れから調理、検品、配送までの流れを間近で観察することができ、特に衛生管理の徹底と効率的な運営体制が印象的でした。
一日数千食規模の給食を安定的に供給するシステムは、日本ならではの精密さと責任感に支えられており、私たちに多くの示唆を与えてくれました。こうした経験は、中国の給食制度の改善においても大いに参考になるものです。

大阪:食育大会での思想交流
今回の研修のクライマックスは、大阪で開催された食育大会への参加でした。全国から集まった研究者、教育関係者、業界専門家が一堂に会し、経験や最新動向を共有。私たちのチームもここで貴重な情報を得ると同時に、日本の関係者との人脈を築くことができました。


結び:中国へ持ち帰る学び
「食育」とは一食の食事にとどまらず、一つの教育であり、子どもの成長を支える営みです。今回の日本研修は、私たちに新たな視野を開いてくれました。
現在、中国においても食育への関心は年々高まり、学校教育や地域社会での取り組みが広がっています。すでに関連する法制度も整備されつつあり、実践の現場では多様な試みが始まっています。
今回日本で得た先進事例や仕組みを参考にしながら、中国の教育現場や社会に適した形で食育を推進していくことが、私たちの使命だと感じています。より多くの子どもたちが日々の食卓から「成長する力」を得られるよう、今後も探究と実践を重ねてまいります。