2025年9月
区の職員さんたちと一緒に小学校を訪問しました。三階の小さな部屋で出会ったのは、ひとりの小学5年生の男の子。
本来なら6年生ですが、学習の遅れから1年留年しているそうです。両親は離婚しており、父親と弟は中国に暮らし、母親と二人で日本で生活しています。母親は食堂を切り盛りし、夜はいつも遅くに帰宅。どうしても子どもは夜に一人で過ごす時間が長くなってしまうのです。

【子どもの日常】
彼の一週間はとても慌ただしいものでした。
月・金はKumon、火・木はオンライン英語、水曜はドラム、土曜は日本語クラス。習い事を終えると母親のお店で夕食をとり、夜7時ごろ一人で帰宅。少しゲームをして9時に眠る。
まだ小学生なのに、自分の生活を黙々とこなしている姿に胸が詰まりました。

【面談での言葉】
短いけれど、重みのある答えがいくつもありました。
「お母さんとの関係は?」
「……よくない。」
「日本と中国の学校、どちらが好き?」
「日本の学校の方が好き。」
「将来はどこで生活したい?」
「日本で生活したい。」
その一言一言に、孤独と願いが滲んでいました。
教育と福祉のまなざし
今回の面談は30分と短時間でしたが、課題ははっきりしました。
一番の懸念は、夜に一人で過ごす時間の長さ。そして、友達や話し相手が少ないこと。
教育の視点では、学力や習い事だけでなく「安心して話せる環境」が必要です。
福祉の視点では、地域や学校が連携して「友達づくり」や「心の居場所」を支えることが欠かせません。

【日本国際交流支援協会の役割】
私たち 日本国際交流支援協会 は、こうした子どもや家庭に寄り添い、教育と福祉の間をつなぐ役割を担っています。
• 通訳として声を届ける
• 保護者や学校・行政との橋渡しをする
• 子どもたちが安心できる交流の場をつくる
国際的な背景を持つ子どもたちが、日本社会の中で孤立せず、未来に希望を持てるように。今回の30分は、その使命を改めて胸に刻む時間になりました。

【終わりに】
子どもが口にした「日本で生活したい」という言葉。それは願いであると同時に、小さなSOSのようにも聞こえました。
次に会うとき、少しでも安心した表情を見られるように――教育と福祉、そして私たち協会が共に支えていけたらと思います。

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